01/08/21 福岡ドーム  ダイエー14回戦(対ダイエー7勝7敗)

◎中里5回3失点も打線の援護で無傷の6勝目◎

 
中  日
ダイエー

[本塁打]中 野  5号(小椋)
     山崎武  2号(小椋)
     ミッチェル2号(小山)
     吉 本  13号(中里)
     ティモンズ2号(小椋)
[勝 投]中 里  (11試合6勝0敗)
[敗 投]小 椋  (11試合2勝1敗)

 
中  日 10
ダイエー 10

 打率
中   蔵 本 .285
遊   テ ル .261
  二   土 谷 .239
右左  幕 田 .250
一   山崎武 .306
指   大 豊 .236
左   ティモ .333
  三遊  仲 沢 .000
二三  善 村 .273
捕   中 野 .277
三右  辻 田 .197
37 10 .267
 打率

  防御率
中 里 23 2.08
岡 本 2/3 1.96
小笠原 11/3 2.49
洗 平 3.00
小 山 3.19

D先発・中里

  中里が、イキのいい若手を捜しに来たタカ党を黙らせた。

  3点リードしてもらった直後の1回裏、電光掲示板に「149キロ」「148キ
 ロ」を次々と刻む。先頭打者から2者連続三振スタート。決め球はいずれも
 速球直後のカーブだった。2回、今度はどよめきと拍手が交錯する。四番・
 吉本に対する4球目に「150キロ」が照らし出された。

  だが中里はスピードの亡者ではない。甲子園を沸かせた寺原(日南学園)の
 快速球について聞かれた時、
 
   中里   「150キロでも打たれるボールは打たれる。140キロでも抑え
         られるボールがある」
         
  表情を変えずに言い切った大器は、吉本にも最後はカーブ。空を切らせた。
  
   中里   「向こうの声援は気にならなかった。集中してました」
   
  4回、吉本に左へ特大の一発を浴び、続く本間の安打でスタンドのボルテ
 ージは最高潮に。それでも崩れることなく、後続を仕留めた。5回を投げ被
 安打4、6奪三振。自責点は一発の1点のみだ。

  この夜、福岡ドームにはウ・リーグ戦にもかかわらず3万8000人の観衆が
 詰めかけた。ダイエー関係者によれば、爆発的なチケットセールスの裏には
 “中日ブランド”も一役買っていた。「相手は最強のドラゴンズですから」
 昨年のファーム日本一であり、スタメンには山崎武、大豊、テルと、そうそ
 うたる1軍の顔が並ぶ。そんな中日との対戦を、販売の窓口では盛んにアピ
 ールしていた。だが、最強の一番手は昨年の日本一メンバーでもなければ、
 ベテラン勢でもない。1軍に最接近中の18歳ルーキーだった。

  関係者を通じて、山田久ヘッドの“1軍ラブコール”は耳に届いている。
  
   中里   「今は何も考えていない。まだまだ課題は多いですから」
         
  言葉とは裏腹、顔を見れば笑っていた。敵地の雰囲気にも動じない強心臓
 を証明した。新たな世紀のホークスの担い手を捜す試合で、中里はドラゴン
 ズの“21世紀エース”に名乗りを上げた。

                 【8月22日付け中日スポーツより引用】