08/10/08 南郷  フェニックスリーグ

◎朝倉7回5安打2失点◎

 
中  日
西  武

[本塁打]後 藤(2回1点朝倉)
     堂上剛(5回3点山岸)
     福 田(9回1点長田)
     三 浦(9回1点中里)

 
中  日 11
西  武

 打率
二   西 川 .167
  二   沢 井 .250
一   柳 田 .444
  一   福 田 .667
指   森 岡 .250
右   堂上剛 .375
中   中村一 .167
左   中村公 .375
  走左  普久原 -
三   堂上直 .286
  打三  中 川 .250
捕   小 川 .333
遊   岩 崎 .429
  遊    谷  .000
36 11 .324
 打率

  防御率
朝 倉 2.57
金 剛 0.00
中 里 9.00

【盗塁】中村一、岩崎
【失策】谷

《相手投手》許銘傑(3回)−山岸(2回)−岡本真(1回)
      −キニー(2回)−長田(1回)

【注】防御率は失点で計算しているので正確ではありません。

D先発・朝倉

  右腕の血行障害からの復活を目指す朝倉が先発し、力強い投球をやっての
 けた。クライマックスシリーズに向けて、ほぼベストの強力打線を組んでき
 たパの覇者を相手に7イニング5安打2失点(自責1)。 最速143キロと自慢
 のシュートが光った右腕がCSの先発投手“第5の男”に名乗りを上げた。

  これ以上にない“復活デモ”だ。朝倉にとって秋季教育リーグという名目
 は、この日ばかりは違った。相手には本塁打王もいれば、盗塁王もいる。今
 季のパのタイトルホルダーたちがズラリと名を連ねた“ガチンコ勝負”で持
 てる実力を見せつけた。パ・リーグ最強打線を相手に7イニング5安打2失
 点(自責1)。朝倉がポストシーズンの先発候補に名乗りを上げた。

   朝倉   「ホッとした、というのが1番です。腕は何ともないし、何
         の不安もない。その中で長いイニングが投げられたわけで
         すから。ただ、ボクは気持ちで投げる投手。相手はいい打
         線、きょうは気合を入れて投げました」

  27本塁打の大砲ブラゼル、一発長打のある捕手・細川こそいなかったが、
 ほぼベストメンバーの強力打線を組んだ西武を相手に病み上がりを感じさせ
 ない。2回、先頭打者の4番・後藤にこそ逆球の速球を左翼席に運ばれた。
 その直後に、今季46ホーマーを放ってパの本塁打王に輝いた“おかわり君”
 5番・中村に左前打を許した。だが、5回に退いたレギュラー組に与えた安
 打はこの2本だけ。最高出塁率賞(4割1分)の中島には2打数無安打、50盗
 塁を決めて盗塁王となった片岡も1打数無安打。安定感が漂っていた。

  伝家の宝刀は健在だ。2回無死一塁から石井義を一ゴロ併殺打、4回2死
 から後藤を三振に仕留めたのも宝刀・シュート。この日は7回2死走者なし
 から遊ゴロ失策をキッカケに1点を失ったが、投球した7イニングも91球も
 復帰後最多。最速は143キロで、そのストレートは140キロ台をマーク。内容、
 結果ともに充実していた。

  遠く険しい道のりだった。7月の登板を最後に戦列を離脱。右腕の血行障
 害で入院生活を送った。8月にグラウンドに帰ってきたが、思うように状態
 が上がらない。

   朝倉   「焦っていました。何とか上がりたいって無理をしていた」

  練習試合では2試合で失点を重ね、9月の2軍戦では危険球退場。空回り
 していた9月、レギュラー・シーズンでの復帰をあきらめた瞬間、光が差し
 た。

   朝倉   「フォームを見直してよくなってきました。きょうのシュー
         トはよかったけど、ストレート、スライダーは指にかかっ
         ていなかった。それが次の課題ですね」

 CS出場を決めた中日にとって必要なのは第2ステージに進んだ場合の“第
 5の先発”。この日の内容なら十分に務められる。さらにいえば、日本シリ
 ーズだって…。大舞台で再び戦う可能性がある西武打線にも強烈なインパク
 トを与えたはずだ。

※西武ビックリ

  パの覇者が、朝倉の投球にうなった。西武ベンチとしては打線のつながり
 を確認するはずが、レギュラー組が出場した5回まで2安打1点に抑え込ま
 れたからだ。ネット裏で見守った黒江ヘッドコーチは感心した。

   黒江ヘッド「いい球がきていたね。最初はボールが抜けていたけど、尻
         上がりによくなっていたよ。あれくらい放れれば、ポスト
         シーズン(クライマックスシリーズ)でも投げるんじゃない
         かな。もしウチにいれば使っているよ」

  西武の打者たちは、目を丸くした。この日、1打数無安打の2番・栗山は

   栗山   「シュートが一番よかった。スライダー、フォークもこれか
         ら精度が上がってくるんでしょうね。さすがに(先発)ロー
         テに入って2けた勝っている投手ですよ」

 おかわり君・中村は、早くも日本シリーズでの対戦を想定していた。

   中村   「シリーズでもあたるかもしれませんからね。対戦できてよ
         かった」

  一方、盗塁王の片岡は

   片岡   「さすがにコントロールがよかった。真っすぐはこれからで
         しょう。シリーズでもあたるかもしれない投手の打席に立
         てたことが貴重でした」

 朝倉と実戦で対戦できたことを喜んだ。データなしで、日本シリーズでぶつ
 かると、怖い相手というわけだ。

D4番右翼・堂上剛

  堂上剛が大暴れした。「4番・右翼手」で出場し、5回の右越え3ランを
 含む4打数2安打5打点と活躍した。さらに弟・直倫も奮闘。2回2死二塁
 からの先制の左翼線二塁打、堂上兄弟だけで全9得点中6打点の荒稼ぎで、
 ポストシーズンでの1軍昇格に向けて猛アピールした。

  宮崎発の“CS秘密兵器”は投が朝倉なら、打は堂上剛だ。前日(7日)の
 適時二塁打に続いてこの日は3ランを含む5打点の大暴れ。CSでの出場に
 向けて、スキ間のない1軍枠を力でこじ開ける。

   堂上剛  「きょうは集中していましたね。3ラン? いい形で打てた
         と思います。CS? もちろん、チャンスがあれば出たい
         と思っていますよ」

  燃えていた。相手はパ・リーグの覇者・西武。レギュラーが顔をそろえた
 野手陣ほどではないが、投手陣もCSに向けて調整登板している。

   堂上剛  「意識はしていました」

 まずは1点リードの3回1死二、三塁の場面で西武・許から左翼線適時二塁
 打を放つと、3点リードの5回1死二、三塁からダメ押しの右越え3ラン。
 カウント1−1、西武・山岸の速球を狙いすましてスタンドに運んだ。

  一気にブレークした昨年と違って、今季は思うような活躍ができていない。
 1軍出場もわずか1試合だけ。だが、残されたチャンスを逃すわけにはいか
 ない。2軍公式戦が終わるとフォームを微調整して宮崎入り。そして今回の
 フェニックス・リーグは4番として出場すると、2試合で8打数3安打6打
 点。

   辻2軍監督「何でも振るんじゃなく、打てるコースを打てばいい。いい
         アピールになっているよ」

  1軍の野手陣は固定されているだけに、簡単には昇格できないだろう。だ
 が、2軍の選手としてはどんなときに呼ばれても、結果を残せるようにキバ
 を研ぐだけ。堂上剛、竜党を沸かせる日はそう遠くないかもしれない。

D7番三塁・堂上直

  弟の堂上直もアピールした。2回2死二塁から先制となる左翼線への適時
 二塁打。四球で出塁した二塁走者の兄・剛裕が本塁を踏んだ。

   堂上直  「スライダーをうまく打てたと思います。状態? それはど
         うですかね。アウトの内容がよくないんですよ」

 この日は3打数1安打。まだ本調子とはいかないようだが、前日(7日)に続
 いて2試合連続打点。調子を上げていきたいところだ。

                 【10月9日付け中日スポーツより引用】