桜井、打撃フォーム確立へ心血
           <2003年8月26日付け「中日スポーツ」より引用>


 暗中模索。そこから、ルーキー・桜井が懸命に“光”を探し求めている。

 25日現在、ウエスタン・リーグでの打撃成績は52打数10安打3打点、打率
1割9分2厘。ホームランはまだ出ていない。前半戦は“結果”を意識し過
ぎたため、打撃フォームにも狂いが生じた。

 後半戦に入り、少しずつながらも明るい兆しが見えつつある。意識的にも
変わってきた。

  桜井   「結果ばかり求めてもダメ。今は積極的に、思い切り振って
        いくことが大切だと思うんです」

 打てなかった時期、桜井はこう話していた。

  桜井   「力んでしまって、タイミングが合わないんですよ。差し込
        まれるし、ポイントがずれてしまって…」

 以前の打撃フォームは、構えたときにバットが体のほぼ正面にあった。そ
れを少し右肩寄りに構えることにより、テークバックにスムーズさが出てき
た。

  桜井   「フリー打撃では球をミートできる確率が増えてきた。後は
        試合につながれば…」。

 春先は竜の大砲候補として騒がれた。まだ手探りの段階だが、何かきっか
けさえつかめば、再びブレークするはず。そのきっかけは、持ち味であるパ
ワー満点の本塁打。1本出れば、きっと壁も突き破れるはずだ。


桜井負けん気に火
           <2003年8月10日付け「中日スポーツ」より引用>


 負けん気に火が付いた。

  桜井   「先を越されたけど、いい刺激になってます」

 桜井が、森岡の1軍昇格後の活躍ぶりに発奮している。

  桜井   「今までよりさらに“ヤル気”が増した」

ライバル心をむき出しにする。

  桜井   「森岡が1軍に上がると聞いてビックリしました。頑張って
        ほしい気持ちはもちろんある。でも“負けないぞ”という
        気持ちの方が強い」

 春先は竜の大砲候補として、桜井自身が脚光を浴びた。立場が逆になった
ことで気持ちをより強くした。

 最大のアピールポイントである打撃は、微調整したフォームが固まりつつ
ある。

  桜井   「ミートする確率は増えました」

笑顔を見せる。

 課題の守備も着実にステップアップしている。

  桜井   「下半身を使って投げることを反復練習しています」


右肩OK 笑顔戻る
    <2003年7月25日付け「北陸中日新聞」がんばってますより引用>


 うつむきがちだった顔に笑みが戻った。

  桜井   「ようやく、ベンチで声を出せるようになった。声って自然
        に出てくるものなんですよね」

桜井の大きな目が輝いた。

 今春の沖縄キャンプ中盤。2軍から1軍に抜てきされ、将来の中軸を担う
打者として話題を独り占めした。オープン戦にも出場。しかし、右肩を痛め
るなどして1軍のレベルについていけず、2軍へ。肩の状態が悪かったこと
もあり、2軍でも試合に出場できない日が続いた。

  桜井   「思い通りのプレーができなくて、自分でも何をやっていい
        のか分からなくなった」

 試合中、ベンチでぼうぜんと野球を見続ける桜井は、首脳陣の目には抜け
殼のように映った。

 自分を直視できるようになったのは、右肩の痛みもなくなり、代打、代走
などで試合に出るようになってから。体と心のバランスがかみ合うようにな
った。

  大橋監督 「やっと2軍でも先発出場するのにふさわしい選手になった
        ということ」

 7月に入って、3試合連続で先発出場した。しかし、通算成績は打率1割
5分4厘、2打点、2盗塁と結果はまだ残せていない。

  桜井   「日本ハムとのオープン戦で5番で先発出場した。福留さん
        が自分の目の前で打席に入っていた。その経験が忘れられ
        ない。自分はあそこにいたのに、と思っていたが、今はあ
        の瞬間を味わえるように目標を置いている」


桜井、好結果に笑顔
           <2003年6月29日付け「中日スポーツ」より引用>


 桜井が実戦で好結果を出した。26日のウエスタン・リーグの近鉄戦(藤井寺)
で、2軍ながら「公式戦でのプロ入り初打点」を記録。右のスラッガーとし
て素質は十分だけに、待望の適時打だった。

  桜井   「うれしかったです。(バットの)しんに当たって、ラインド
        ライブがかかったけど、もう少しうまく上からたたけたら、
        本塁打になっていたかも?」

 桜井は28日、ファームの練習先の中日屋内練習場で笑顔で振り返った。

 7試合ぶりの先発出場で出した好結果だった。

  桜井   「初ヒットを打ってから(ウ・リーグで)20日間、打席に立て
        なかったので、球が速く感じた」

 富山県在住の両親からは新聞に最近名前が載っていないと、よく電話がか
かってくるという。

  桜井   「心配させたくない。だから結果を出したいんですよね」

 この初打点をきっかけに桜井は上昇気流に乗る。


桜井、頭丸めて気合再注入−酒井の“楽しむ”助言でリラックス
           <2003年4月15日付け「中日スポーツ」より引用>


 将来の大砲候補、桜井が、頭を丸めて出直しを誓っている。

  桜井   「自分の中で、髪の毛を短くすると調子が上向いていくと信
        じてるんですよね。今までがそうでしたから…」

 9日にスッパリと刈り込んだ。

 4月7日に右肩前方筋肉の炎症と診断され、下半身強化中心の別メニュー
で調整中。

  桜井   「一からやり直すつもり。キャンプやオープン戦で注目され
        たことも忘れて、まっさらな気持ちでやっていくために短
        くしました」

 2軍でのスタートとなったプロ入り初キャンプは順調そのものだった。

  桜井   「野球が楽しくやれていました」

 読谷ではプレッシャーを感じることなく、伸び伸びと野球に集中できた。
その結果、打撃の評価も日に日に上がっていき、キャンプ前半で早くも1軍
(北谷)に合流。順風満帆かに思えた。

 だが、試練はすぐに訪れた。プロの生き残りを懸けた戦いの場所に身を置
いて、初めて感じる強大なプレッシャー。一週間で食事がのどを通らなくな
ったという。

 そんな桜井の状態にいち早く気付き、声を掛けてくれたのが今季ロッテか
ら移籍してきた酒井だった。

  酒井   「楽しみながら野球をやれば、いろいろなことが見えてくる」

 忘れかけていた“楽しむこと”を思い出させてくれた。打撃不振に陥った
ときは

  酒井   「思い切って三振しろ。それがいい勉強になる」

 それがすごくうれしかった。

  桜井   「この肩の痛みは、神様が与えてくれた試練。つらい下半身
        強化の練習も今は楽しんでやってます」

 笑顔で話せるようになった。封印してきたスローイングの練習を再開する
には、まだ時間がかかりそう。しかし、精神的にひと回り大きくなった桜井
は最後に力強く宣言した。

  桜井   「目指すところは1軍のクリーンアップです」